X-29はアメリカ合衆国のグラマン社によって2機が製作された実験用航空機(実験機)である。X-プレーンズのひとつ。前進翼をはじめとする多くの新技術を実証した。 一見してわかる最大の特徴は前進翼とカナード翼である。 前進翼では翼の根元あるいは機体の重心位置で失速が始まっても翼端には気流が残っているため原理的に失速限界が高く、また横滑りの際風上側の翼の方が風向に対して翼幅が小さくなるために揚力が小さくなる負の上反角効果を起こす空気力学的不安定さを持つ。このためフライ・バイ・ワイヤを使った飛行制御情報による修正を、最大で1秒間に40回も必要とする。この不安定ゆえに優れた旋回性能を期待された(CCVの手法のひとつ)。また、揚力と迎え角の相互拡大の結果として翼を破壊してしまうダイバージェンス対策として、充分な剛性を持つ翼を軽量に仕立てるために先進的な複合材成型技術(空力弾性テーラリング)も必要とした