まず前編のおさらい。1961年刊行の松本清張『砂の器』(新潮文庫)のストーリーを大きく改変した映画が1974年に大ヒットした。2004年の中居正広版ドラマ「砂の器」(TBS)は、原作小説ではなくこの映画に準じて作られた。ただしドラマならではの改変箇所として、犯人視点にしたこと、時代設定が2004年で動機や隠蔽工作が時代に合わせて変えられたこと、の2点がある。ここまで覚えてますか? で、ヒガシ&ケンティ版「砂の器」である。こちらも原作小説ではなく、映画のストーリーを踏襲していた。クライマックスは原作には存在しないコンサート+回想だったし、最初の殺人以外の死亡事件とトリックもまるっとカットされていた。さらに原作では終盤まで隠されていた真犯人も、中居版ドラマ同様、早々に明かされた。「砂の器」映像版の定番脚色だ。てかもう、これが松本清張の『砂の器』だと思われてないだろうか。違うからね? コンサート