漫棚通信(すいませんが敬称を略して)が本ブログのコメント欄で羽海野チカ『3月のライオン』について言及していた。 ぼくが、スポーツのエトスは勝負であり、そのエトスを「敗北」という側面から見事に描いたのが『ちはやふる』だという記事を書いたさいに、つけてくれたコメントである。 『3月のライオン』はプロの棋士の世界を描いた物語で、4巻では主人公・桐山零の研究会主宰者、いわば師匠格にあたる島田八段の「敗北」が描かれている。 スポーツのエトス=勝敗に全てを賭けられない桐山 しかし、『3月のライオン』はこれまでのところ伝わってくる中心テーマは、まったく正反対の問題——つまり主人公の桐山零にはこの「スポーツのエトス」、勝敗に競技人生と人格をすべて載せるというような意気込みが欠けている、ということなのである。 4巻の島田八段が身を削りながら勝敗に執着する姿は、むしろ桐山の「本気になれなさ加減」とでもいおうか
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