日本のきものに未来はあるのか? その答えが意外なところから見つかるかもしれないと、前々回の記事で書いた。 それからひと月もしないうちに、さらに気持ちが明るくなる展覧会に遭遇した。 場所はパリのまん真ん中にありながら“ヴィラージュ(村)”と呼ばれる独特の静けさがあるサンポール界隈。骨董店などが身を寄せ合う一角にある画廊で、心が洗われるような日本刺繍の展覧会が開かれていた。 石造りの画廊の壁に掲げられた作品の数々は、まるで絵画かと見紛うような圧倒的な芸術性、創造性にあふれ、観る者の刺繍の概念を鮮やかに覆してくれる。 展覧会の作品 パネルと帯展覧会作品作品の一部。まるで生きているような存在感初日には木寺大使夫妻(右)が来訪作者は山田美佳さん。パリ在住3年目になる30代の日本女性だ。 展覧会初日は駐仏日本大使夫妻も訪れたほか、審美眼の高いフランス人たちが大勢つめかける大盛況で、春らしい色合いのきも