(The Economist Vol 387, No. 8580 (2008/5/17-23) p.87, "Economics focus: Malthus, the false prophet") トマス・マルサス 山形浩生訳 (hiyori13@alum.mit.edu) 悲観的な司祭にして初期の政治経済学者だったマルサスは、いまも昔もまちがっている。 食料価格の驚くほどの高騰は、多くの国で暴動や不穏を生み出し、アメリカやヨーロッパの比較的裕福な人々ですらその影響を身をもって感じるようになっている。おかげで、グローバル市場が世界 70 億人の腹を満たせるという信頼は揺らぎ始めている。慢性的な不足の時代が始まったのではないかという恐れが生じた結果として、トマス・マルサスの名前が再び出回るようになってきた。でもかれの見方がいまになって当てはまるようになったとしたら、それは過去二世紀の経験