沖縄の海を通して生命の神秘に迫る『ナチュン』(講談社、3巻まで)の作者、都留(つる)泰作(だいさく)さん(39)は文化人類学者で富山大学准教授というもう一つの顔を持つ。異色の新鋭を富山市の研究室に訪ねた。(佐藤憲一) 名古屋大で生物学を、京大大学院で生態人類学を学びカメルーンの狩猟採集民の研究を専門にする都留さん。「生の現象や人間を知りたい」とフィールドワークを重視する学者の道を歩みながら長年マンガ家も目指していたという。 「現地調査から得られた成果で、論文では表現しきれないものをマンガで表したいと思ってますから。私の中では学問とマンガは矛盾しないんです」 06年からアフタヌーン誌で連載するデビュー作「ナチュン」も大学院時代、沖縄の離島にのべ半年間住み込み、漁労文化を調査した体験がもとになっている。 水中でも肺呼吸ができる人工鰓肺(さいはい)の開発で人類が海中に進出した2051年。天才学者