豆腐の定番中の定番、木綿豆腐と絹ごし豆腐。市場規模6000億円と、意外に大きな市場の大半を占める。とはいえ、豆腐は絵に描いたようなコモディティ、安売り競争のレッドオーシャンでもある。「ニッチ狙いの商品ならともかく、いまさら普通の木綿や絹にイノベーションなんてあるわけない」と、たいていのビジネスマンなら思うところだ。 そこに年商以上の費用を投じて、ロボットまで導入した超量産工場(第三工場)を作って攻勢に出たのが相模屋食料(以下相模屋)。賭けは当たり、10年間で売上高は4.5倍に伸びた。ついには「ザクとうふ」「鍋用!ズゴックとうふ」のような、鳥越社長の趣味と販促効果を両立するヒット商品まで生み出している。 それにしても、雪印乳業の営業マンから転じて相模屋の社長になった鳥越淳司氏は、いつ、どのようにして、豆腐マーケットに眠っていたこの勝機に気づいたのだろうか。 * * * (承前 前回か