ベルリン世界選手権女子800mの優勝者に「性別疑惑」が持ち上がっているという件に関して、昨日来テレビ局からコメントを求められている。 「今行われているという性別検査はどういうものなのか」というのが質問の主旨である。質問してくる側が誤解している点、間違いやすい点(これはすなわち一般視聴者の誤解と共通すると思うが)をまとめておく。 まず、「性別検査」とはもはや大会に参加する全女性競技者を対象とした「一律の」「スクリーニング的な」性別検査ではないということだ。そういう一律性別検査は1996年のアトランタ五輪を最後にオリンピックでも行われていない。なぜ中止になったのか。アトランタでは3387人の女性競技者に対して行われたDNA検査で、Y染色体(の一部)を有すると判定されたのが8名、そのうち7名がアンドロゲン不応症、1名が5α脱水素酵素欠乏症という先天的な性分化異常症であって、結局は全員が女性競技へ