秋葉原の大型店でパソコンのパーツを見る与謝野馨さん=2012年 (c)朝日新聞社この記事の写真をすべて見る 「悪口を言われながらばかみたいに頑張る人がいないと、物事は進まない」 いつも淡々と語っていた。政界きっての政策通として知られ、官房長官や財務相などを歴任した与謝野馨(よさのかおる)さんが亡くなった。78歳だった。40年近くがんと闘いながら、かたくなに「財政再建」を訴え続けた。 東日本大震災からまもない2011年4月、消費増税に向けた議論の再開を主導した。批判してきた民主党政権に経済財政相として入り、非難や反対論に囲まれても、「雇われ職人」として動いた。 震災でも財政再建は後回しにできないと、中長期の視点で日本を見据えていた。自らの使命を「日本最後の海軍大将」と呼ばれた井上成美(しげよし)に重ね合わせた。井上は太平洋戦争中に江田島の海軍兵学校で校長を務め、敗戦を覚悟し、将来を考えて英語