政府・与党内に財政健全化目標の先送り論が浮上している。国・地方の基礎的財政収支(プライマリー・バランス、PB)を2020年度に黒字化する目標を先送り、経済最優先の財政運営を鮮明にするという発想だ。安倍晋三首相は20年に憲法改正を目指す考えを表明しており、国民投票が絡むだけに痛みを伴う19年10月の消費増税が予定通り実施されるかも予断を許さない。経済成長による税収増に依存した財政健全化計画は危うく、将来世代に禍根を残しかねない。安倍政権は消費税率10%への引き上げを安易に修正することがあってはならない。 安倍政権は財政健全化よりも経済成長を優先する姿勢を鮮明にしている。6月9日に閣議決定した経済財政運営の基本方針(骨太方針)では、それまで記載されていた「19年10月の消費増税」の表現が削除された。加えて、20年度にPB黒字化を目指す財政健全化計画も一部見直され、新たに「公的債務残高に占める名