昨年末に刊行した『中国の行動原理』は、各紙誌の書評で取り上げられ、高く評価された。この本では、世界各国で批判される中国の特異な行動について、毛沢東から習近平にいたる指導者たちの歴史的言動、文化人類学による民族の特質・特性、さらには共産党内で働く力学からと、さまざまな視角から読み解いている。自らの体験も絡めつつ描いたこの本について、また新型コロナの発生からその影響を受けた中国について、延期されていた全国人民代表大会(全人代)開催直後にうかがった。 ――そもそもなぜ中国に関心を持ったのですか。 益尾:さあ、いつでしょうねえ。中国はいつも身近にあったので……。うちの父は語学オタクで、いろんな言語を勉強していたんですが、一番熱心にやっていたのが中国語でした。ただ、父は離島の出身でお金に苦労しまして、子供も4人いたので、とにかくドケチで。父にはお金を払って言葉を習うという発想がなかったんです。それで