樋口陽一・大嶽秀夫「戦後民主主義・コンフォーミズム・天皇制」、『法律時報』61巻6号、1989年。 シリーズ・大嶽秀夫を読む(58)。 この対談は、樋口陽一との二度目の対談である。なお、大嶽と樋口の関わりについては、このエントリを参照。 大嶽の「政治」概念が、政府レベルだけでなく、「社会のなかの政治」にまで拡大されたことは以前述べた。後年の大嶽の言葉でいえば、 「筆者の研究の出発点は、狭義の政治現象を超えた、経済的活動の場における権力作用への強い関心にあった」(『20世紀アメリカン・システムとジェンダー秩序』x-xi頁)ということである。このように、大嶽の研究は当初から、大企業の経済権力、すなわち「社会のなかの政治」への視角が含まれていた。 ただ、こうした「社会における政治」への視角は、当時の政治学にとって(あるいは現在も)、必ずしも一般的ではなかったことには、注意が必要である。むしろ伝統