またも任期途中の退陣を表明した安倍晋三首相。連続在職日数が史上最長となった24日に辞任の意向を固めたが、周囲は記者会見の直前まで必死に引き留めた。「休んでまた復帰すればいい」「短期間の入院なら誰も批判はしない」。首相は葛藤したが、新型コロナウイルスを巡る新たな対策を取りまとめたことで、「第1次政権時のような『投げ出し』批判を避けられる」と判断し、最長政権の幕引きを決めた。(東京支社取材班) 28日午後5時、官邸で開かれた記者会見。首相は秋以降の新型コロナ対策を説明した後、「私自身の健康問題を話したい」と切り出した。持病の潰瘍性大腸炎が再発したとして、「投薬の効果はあるが予断は許さない」「国民の負託に自信を持って応えられる状態にない」と語り、「職を辞することにする」と目を伏せた。 その約6時間半前。閣議を終えた首相は、自らの「後見役」である麻生太郎副総理兼財務相と官邸執務室で向き合っていた。