須磨海岸(神戸市須磨区)の東外れ。須磨海浜公園から海岸へ降りる階段脇に地元の海の家が60年以上前から、資材置き場として使ってきた倉庫がある。一帯は神戸市が管理しているが、市民の通報で最近になって存在が分かり、8月末で市に明け渡すことになった。 【写真】空間に残る井戸。かつてはスイカを冷やしていたことも 倉庫を使ってきたのは、老舗の「海の家カッパ天国」。3代目の幸内政年さん(43)によると、この近くで釣り船の休憩所を営んでいた祖父が、1956(昭和31)年ごろ、旧須磨水族館(現・須磨海浜水族園)の建設に伴う周辺開発で漁具倉庫の移転を求められ、市から今の場所を紹介されたという。 市によると、昔は岸壁だった場所で、コの字にくぼんだ部分の真上に市がコンクリートの園路を付けて倉庫にしたらしい。高さ約2メートル、広さ約45平方メートル。59年の伊勢湾台風で入り口の木製扉が流され、頑丈な鉄製に付け替えた