あらすじ 昔、琵琶湖のほとりの堅田(かたた)に源五郎という名の男がいた。 ある日、源五郎が湖のほとりを歩いていると、岸辺にひどい怪我をしたフナを見つけた。源五郎は漁師だったが、このフナを取らず傷口に油薬を塗って逃がしてやった。 さて、次の日も源五郎がブラブラしていると、昨日フナを助けた辺りに見慣れない若い女が背中から血を流して倒れていた。源五郎は慌ててこの娘を家に背負って帰り、介抱してあげた。 やがて娘の傷も癒え元気を取り戻すと、娘は自分を嫁にしてほしいと源五郎に言った。独り者の源五郎、きれいな嫁さんがもらえて嫌と言うはずがない。ただ、娘は自分が湯浴みをしているところを決して見ないよう源五郎に約束させた。 それからの源五郎は、見違えるようによく働くようになり、また二人は傍目もうらやむほど仲良く暮らした。こうして瞬く間に数年の歳月が過ぎていった。 そんなある日、今日は珍しく朝から大漁で、源五