日本の製造業の凋落が叫ばれる中、イノベーションの条件がよく議論される。再び世界市場で競争力を取り戻すために、イノベーションの実現は確かに大きな課題だ。 しかし同時に、今こそ足元を見つめ直すことも必要なのではないか。品質を磨き上げ、生産性をとことん高めるという日本製造業の本来の強さが失われては元も子もない。 今回、紹介するのは、この20年で売り上げを10倍に伸ばした町工場の話である。 その町工場は、画期的な新製品やサービスを生み出したわけではない。天才的な技術者もいなければ、胸のすくような一発逆転もなかった。26歳の若さで入社した創業者の孫が様々な「師」に出会って経営を学び、じっくりと時間をかけて改革を積み重ねた成果である。
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