先ごろ、岩手県平泉が世界文化遺産、小笠原諸島が世界自然遺産に認定され、地元は大変な喜びようであったことは記憶に新しい。さらに「世界記憶遺産」に山本作兵衛の炭鉱画が選ばれ、昨日、認定書が田川市に届いたというニュースが入った。 実はユネスコの世界遺産のなかにこのようなジャンルがあることを初めて知った。聞けば「アンネの日記」や「ベートーベンの第9草稿」、「フランス人権宣言」などが登録されているという。その中に幼い頃から炭鉱で働き、60歳を過ぎてから初めて絵筆を握った人間の絵が登録されたのだ。 『画文集 炭鉱に生きる 地の底の人生記録』は1967年、山本作兵衛75歳のときに出版されたものだ。今回の世界遺産登録を記念して、巻末に金子光晴、石牟礼道子、菊畑茂久馬、南伸坊の書評を付けて新装版として発売された。 本書は「ヤマの生活」「ヤマの米騒動」「ヤマの労働」の3部に分かれている。 明治25年(1892
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