『否定と肯定』を見てきた。歴史学者のデボラ・E・リップシュタットがホロコースト否定論者デイヴィッド・アーヴィングに訴えられた際の実際の裁判を脚色したものである。 原題は"Denial"で、正直『否定と肯定』という日本語タイトルは良くない…というか、この映画は否認主義とまともな歴史的探求は並列することすらおこがましく、そうすることによりデマの流布に手を貸してしまうことになりかねないということを描いた映画なので、日本の宣伝は全然ダメだと思う。 アーヴィングは史料を歪曲してホロコーストを否定しようとする人物であり、映画中で言われているように、リップシュタットを訴えたのは彼女がユダヤ人で女性だからだ。リップシュタットはレイチェル・ワイズが演じており、これは非常に適役だと思う。というのも、レイチェル演じるリップシュタットは赤毛の美人で優秀な学者にしては若く、いわゆる学問の世界で「まじめに」受け取られ