デバイス古今東西(35) ―― なじみの正規分布に落とし穴,ときには「ブラック・スワン」の概念で捉えることも必要 山本 靖 過去に例がない事象が社会に大きな衝撃を与える現象を「ブラック・スワン(黒い白鳥)」と呼びます.ブラック・スワンの背景には,理工系の技術者や研究者にはなじみの薄い「べき分布」という確率上の概念が存在します.本稿では,このブラック・スワンの考え方について述べていきます. ●大事件の後は「ブラック・スワン」に注目が集まる 米国では2008年9月のリーマン・ショックの後に,日本では2011年3月の福島原発事故の後に,ブラック・スワンの概念に注目が集まり,数多くの新聞,書籍,雑誌などで紹介されました.ブラック・スワンの概念は,認識論者,研究者で金融デリバティブの専門家でもあるナシーム・ニコラス・タレブ氏の著書『ブラック・スワン』に由来します(1).いわく,「オーストラリア大陸(
![デバイス古今東西(35) ―― なじみの正規分布に落とし穴,ときには「ブラック・スワン」の概念で捉えることも必要](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/7ffcdd77a4f3615927bed092bb89fe92046ab7b8/height=288;version=1;width=512/http%3A%2F%2Fwww.kumikomi.net%2Farchives%2F2012%2F03%2Fco10de35%2Fco10de35_f02.jpg)