■「売却タブー」で信用維持 米政府系住宅金融公社2社の経営危機に発展したサブプライム(高金利型)住宅ローン問題。両公社が発行する債券は世界中に広がっており、政府は公的支援を打ち出し金融不安の沈静化に必死だ。米国が最も恐れているのが、不安が米国債に飛び火することだ。米国債の信用が揺らげば、世界中に米国債を売りさばき、「双子の赤字」を穴埋めすることで成り立っている米国の根底が崩壊するばかりか、米国債とドル暴落が世界経済の“クライシス”の引き金となる恐れをはらんでいる。(大柳聡庸) ≪暗黙の政府保証≫ 経営危機が表面化したのは、米連邦住宅抵当公社(ファニーメイ)、連邦住宅貸付公社(フレディマック)だ。米国の住宅ローンの大部分を債務保証し、「住宅金融システムの中核的役割」(ポールソン米財務長官)を担っているが、不動産バブルの崩壊で保証債務の貸し倒れが急増した。 政府の影響力が強い両社が資金