眠気を除去し、集中力を高めるという理由で日本軍に重宝された「ヒロポン」の中毒者が、終戦直後の混乱した社会情勢のなか多く生まれたことに端を発した日本の覚醒剤史。これまで決して公に語られてこなかった現在に至るまでの歴史、そして知られざる流通ルートとは。 ここでは、ノンフィクションライターとして精力的に活動する高木瑞穂氏による『覚醒剤アンダーグラウンド』(彩図社)の一部を抜粋。「シャブをこの国に広めたのは俺だよ」と自称する男、和久井氏の証言を紹介する。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 日本が世界最大の覚醒剤マーケット 未だ第三次覚醒剤禍が続く日本が世界最大の覚醒剤マーケットであることは、間違いない。既に記したように、国内の製造が困難なこと、そして自国の相場より高値で取引されることなどから諸外国から良質なシャブが集まって来る。 捜査関係者が補足する。 「ただし、アメリカ含め諸外国でも使用者が