私の手元には、津久井やまゆり園を運営する「かながわ共同会」の職員から、極秘に入手した21枚の書類がある。 植松死刑囚が、在職中に書いたヒヤリハット報告書である。「ヒヤリハット」とは、介護や医療分野で広く普及した取り組みで、現場でヒヤリとしたりハッとした事例を記録し、職員どうしで共有するための報告書であり、植松の在職中の仕事ぶりを知る上で重要な記録である。 すでに私は、『文藝春秋』(2021年6月号)に書いた記事の中で、その報告書の存在に触れ、朝日新聞・論壇時評(5月27日)などでも取り上げられ、大きな反響を呼んだ。 今回は、さらに報告書の全貌を明らかにするため、かながわ共同会の元職員であるTさんに21枚のヒヤリハットから浮かび上がる植松像を読み解いてもらう。 Tさんは、植松と直接的な面識はないものの、かながわ共同会の職員として15年以上の勤務歴があり、津久井やまゆり園にも6年間勤務していた