女手一つで育ててくれた母を楽にしてあげたいと騎手を目指す 「もう1周!!」 あの時の声が忘れられないと山田敬士は言う。 騎手デビューしたばかりの2018年。10月13日に事件は起きた。 先週3月28日の中京競馬第1レース。勝利した山田が騎乗したのは大江原哲厩舎のエバンタイユドール。元は故・高市圭二調教師が管理していた馬。高市にとって幻の通算300勝となった。今回はその山田に例の事件の真相と当時の心境、そして生い立ちから振り返ってもらい、現在の思いまで語っていただいた。 1997年9月18日、東京の東村山で山田は生を受けた。現在22歳の彼には2歳ずつ離れた弟が2人いる。小学生の時に両親が離婚し、3兄弟はいずれも母のさつきに育てられた。 「金銭的に恵まれていなかったので、母は僕達3兄弟のために昼夜を問わず、働いてくれました」 「早く稼げるようになって母に楽をさせてあげたい」と思うようになった山