花巻市内の鍍金(めっき)加工会社の黒坂鍍金工業所(本社・東京都大田区)の花巻工場で、毒性の強い剥離(はくり)液の漏出事故があったことを同社が26日、記者会見して発表した。液体には致死量12万5千人分の青酸ナトリウムが含まれていたが、工場敷地内での回収が進み、住民に健康被害は出ていないという。 事故は25日午前7時ごろに起きた。除雪車が作業中に、工場敷地内の剥離液の貯蔵タンクのバルブを壊し、液体が漏れた。漏れた量は5〜6トンと見られている。液体には1リットル当たり5グラムの青酸ナトリウムが含まれていた。致死量は200ミリグラムとされ、5トン漏れたとすると、12万5千人分になる。 工場は花巻市に連絡し、漏れて液体がしみこんだ雪や、周辺の土壌22トンを回収した。工場では、ほとんどを工場敷地内で回収したと見ているが、敷地外の雨水溝や近くを流れる油沢川に漏れていないかどうか、調査を継続している。