煮詰まっている。…いや、私もいろんな意味で煮詰まっているが、今回は私の話ではない。 例えば台所で鍋を火にかけたままテレビに夢中になっていて「あっ」と気がつくと、煮物が焦げる寸前だったりする。完全に煮詰まった汁。ぐずぐずに煮溶けた大根。ま、あれはあれでおいしいが。 煮込みと言えば聞こえはいいが、煮詰めと言えなくもない料理は味がグッと濃厚になって、うん。あれはあれでおいしいんだ。負け惜しみに聞こえるかい。 そこで今回は、いつも「うっかり」煮詰めてしまう物を積極的に煮詰めてみた。ものぐさ者の大義名分に聞こえたらご愛嬌。 (高瀬 克子) まずは牛乳から 「牛乳を煮詰め続けると、なにか別の物が出来る」という話を聞いたのは随分前のことだ。それは“蘇”とか“醍醐”などと呼ばれるらしいのだが、実際に食べたこともなければ目にしたこともない。 とにかく長時間煮詰め続ければ、過去に見たことのないない物と対面でき