(縁側の下に生きる死人) 新日本古典籍総合データベース ※この記事では、国文学研究資料館所蔵品の画像データを適時加工して利用しています。 (CC BY-SA 4.0) ※画像は拡大できます。 【原文】 廿五日の夜は、裏の方に用事有りて縁の下《もと》に下《お》りけるが、何やらん覚えず踏み附けし故、驚き見るに、死人の様《やう》にて、その面《おもて》ハ恐ろしく、丸眼《まろめ》を開きつゝ、目《ま》起こしをせしが、樵虫《きこりむし》の飛ぶ如く音有りしとぞ。 斯《か》くてハ死人とも覚へざれど、肉冷やゝかにして和《やわ》らかく、其の気味の悪しさ、言ふべからず。 扨《さて》、踏み附けし足ハ、其の肉附きて、もち/\とせし故、裏の方には至る事もならで、漸《やうや》く居間に帰りて、臥しける。 其の後ハ、足に附きて来たりし肉、両股《りやうもゝ》の間に入りて、冷やゝかな事限り無かりしが、終《つひ》に捨て置きて寝入り