田中角栄をほうふつとさせる「叩き上げ」の半生、自民党としては海部俊樹以来の「非世襲」、そして党初の「無派閥」の総理大臣……新たにわが国のトップに立った菅義偉首相(71才)は、これまでの総理大臣とは一線を画す人物であるかのように思える──。 【写真】道着を着て空手のポーズを決める菅首相 高校を卒業して上京し、都内の段ボール工場に就職した菅青年は、大学進学への思いが強くなり、数か月で退職した。アルバイトで生計を立てながら受験勉強をして、上京から2年後に法政大学法学部政治学科に入学した。その意味では、叩き上げの苦労人であることは間違いない。 卒業後は民間企業を経て、神奈川県横浜市出身の小此木彦三郎衆議院議員の秘書として11年間勤務する。この間、小此木氏のもとで住み込みの家政婦として働いていた真理子さんを見初めて結婚した。静岡県出身の真理子さんは、県内の大学を卒業後、一度農家に嫁ぎ、離婚している。