「表象」を一番簡単な言葉で説明すると、「人間がとらえた事物の像」ということになるかと思います。 花が咲いている。 あなたはそれを見て「花」と言います。 そのとき、「花」という言葉は、実際に咲いている花の表象です。 花が咲いている。 あなたはそれを見て「花だな」と思う。 そのとき、あなたの頭の中に浮かんだ「花」という観念は、実際に咲いている花の表象です。 つまり、ものごとは言葉や観念によって、表象されている。 対象を言葉や観念で置き換えることによって、わたしたちはものごとをとらえ、考え、話し、コミュニケーションを行っているのです。表象の機能、とはそういうことです。 けれども、ほんとうに、わたしたちが見ているもの=対象といえるのでしょうか。 わたしたちは知覚を通してものをとらえ、脳でそれを判断し、認識する作業をおこなっています。 この認識の結果によって得られた像(表象)=対象、であるとどうした