甘くない現実 貧しい農民や女性でも自立する資金を借りられるマイクロクレジットだが、誰もが成功するわけではない Rafiqur Rahman-Reuters バングラデシュ北東部出身の農民メディ・ハッサン(23)の腹部には、痛々しい傷痕が残る。5カ月前、首都ダッカの病院で受けた手術の痕だ。肝臓の6割を提供すれば、30万タカ(約3900ドル)になると言われ、不法臓器ブローカーと契約。だがブローカーは姿をくらまし、ハッサンに残されたのは病院の請求書と傷の痛みだけだった。 バングラデシュでは闇の臓器売買が盛んに行われている。8月に北西部のジョイプールハットを拠点とする臓器ブローカー組織が摘発されると、この問題がメディアで大きく報じられた。 彼らが臓器提供を持ち掛けていたのは、マイクロクレジットの返済に追われる貧しい農民。世界から注目を集める融資制度の発祥の地で、こうした違法取引が横行するとは皮肉な