彼らは明るい。『スター・トレック:ストレンンジ・ニュー・ワールド』のプレミアエピソードを観ての第一印象だ。新生エンタープライズの乗組員たち――設定的には、初代『宇宙大作戦』のエンタープライズの前任クルー――は、みな明るく、笑顔を絶やさない。もちろんパイク船長やラアンのような暗い過去を追ったキャラもいるが、それでも皆自信に満ち溢れ、まっすぐ前を向いているように見える。 そもそも、1966年に放送が始まった最初のスタートレック、『宇宙大作戦』は、牧歌的な未来像が背景にあった。古典的なスペースオペラ小説の流れを汲み、科学への信頼とともに「カウボーイ的な正義」への信頼が厚かった時代のSFテレビシリーズだ。国家間の争いも貧富の差も人種差別もない、理想的な未来の地球で生まれ育った人々が、宇宙のフロンティアを探検し、自分たちの正義をよりどころに問題を解決していく。 だが、時を経てそのような未来描写は、現