ちょっと感情的な話だけど、この映画をみてほんとうに、スーパーヒーローものが厭になってしまった。映画の出来がどうこうじゃなくて、映画の示す価値観に、息が詰まってしまったから。そんな自分が辛い。 正義の戦いのなかで数々の副次的被害を出してきたスーパーヒーローたちが、二つの価値観で袂を分かつ。かたやアイアンマンの「正義を守るためには、国連という大義に従うべきだ」。かたやキャプテン・アメリカの「正義を突き通すためには、自らの心にのみ従う自由な自警団であるべきだ」。 この2つの正義のありかたに、観ていて激しい苛立ちを感じてしまった。二つの思想は、どちらも強大なパワーを持つ者の独善で、被害者、弱き者の視点が、どこにもないから。どちらも「弱者を救う」ためにはどうすべきか、という建前なのに、結局、強者である自分たちがどう生きたいのか、ということに執着しているだけだと思える。 そして二つの独善は戦いを始め、