放射性物質の除染費用を国が負担する前提となる「汚染状況重点調査地域」の指定について、県北西部の柏、松戸など八市が指定を目指す方針を国に伝えたことが二十五日、分かった。一方で、船橋、市川両市は「費用負担はしてほしいが汚染地域というイメージがつく」ことを理由に、国への回答を「保留」としている。環境省は指定地域を年内に決める予定で、除染費用の負担をめぐる調整が本格化してきた。 (横山大輔) 重点調査地域は、来年一月に全面施行となる放射性物質汚染対処特別措置法に位置付けられている。指定は市町村単位で、大気中の空間放射線量が毎時〇・二三マイクロシーベルト(年間換算で一ミリシーベルト)以上とされている。指定を受ければ、国が除染費用を負担するが、逆に指定されなければ国の負担はない。 県などによると、指定作業は十月末に環境省が開いた県内自治体向けの説明会で始まった。国側は文部科学省が行った放射線モニタリン
世界の放射能汚染地域や福島第一原発事故で被害にあった住民などを積極的に取材しているフォトジャーナリストの森住卓さんが二十日、水戸市緑町の県立青少年会館で「世界の核汚染と福島」と題して講演した。県平和委員会が主催し、約二百人の参加者が放射能汚染の実態に耳を傾けた。 (近藤統義) 森住さんは旧ソ連のセミパラチンスクや太平洋上のマーシャル諸島など世界の核実験場を長年取材し、実態を著書などで紹介してきた。セミパラチンスクで撮影した六本足の子牛や肝臓がんになった住民男性の写真を見せながら「チェルノブイリ事故の約五千倍の放射性物質がまかれ、百数十万人が被ばくした」と報告した。 仲間とともに震災直後の三月十三日から福島第一原発周辺の自治体に入って撮影した動画も公開。原発から三~四キロの双葉町の中心部で、放射線測定器の針が振り切れてしまう映像に参加者からはため息が漏れた。飯舘村での取材では、搾った牛乳を捨
政府のエネルギー・環境会議に設置された「コスト等検証委員会」が十五日開かれ、東京電力福島第一原発の事故を受けた原発の発電コストについて議論した。国の原子力委員会は事故によるコスト上昇分を一キロワット時当たり最大一・六円と試算したが、議論ではさらに高くなるとの指摘が相次いだ。各エネルギー源で原発が一番安いとしてきた政府の根拠は揺らいでいる。 (関口克己) 検証委では原子力委の鈴木達治郎委員長代理が試算を報告。政府がこれまで原発の発電コストとしてきた一キロワット時五・三円に、事故で最大一・六円が加わる可能性を示した。
東海村の村上達也村長は二十二日の定例会見で、経済産業相が一部地域の原発を再稼働するよう求めたことについて「福島第一(原発事故)の原因究明も、収束もされていないのに経済や産業ばかり優先している。立地地域の命を考えていない。こんな国は原発を持つべきではない」と強く批判した。 原発を抱える自治体が国から手当をされる交付金に頼っている実情について、「その意識から脱却しないと。子どもたち(の安全)と交付金は等価交換できない。(村の予算に占める)交付金の比率はそこまで高くはない」と“脱原発”を示唆する発言もあった。
福島県の検討委員会がまとめた復興ビジョンの基本理念原案のうち「脱原発」関係部分の全文は次の通り。 【原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり】 今回の災害で最も深刻な被害を受けたふくしまの地においては「脱原発」の考え方の下、原子力への依存から脱却し、再生可能エネルギーの飛躍的な推進を図るとともに、省エネルギーやリサイクルなどを強力に推進し、環境との共生を図る。 多様なエネルギーの組み合わせなどにより地域でエネルギー自立を図る多極分散型のモデルや、再生可能エネルギー関連産業などの集積により環境との共生と経済的な活力が両立するモデルを世界に先駆けて提示していく。 さらに、効率性のみに偏重することなく、交通基盤、情報通信基盤などのハード・ソフトの両面においてさまざまな手段を確保し、万一の際に対応できる、安全で安心な社会を構築する。 原子力災害を克服し、さらに、子どもから高齢者
東日本大震災の発生翌日、福島第一原発で爆発が起きる前に福島県が行ったモニタリング調査で、金属性で飛散しにくい放射性のテルルが原発から約七キロ離れた同県浪江町などで検出されていたことが分かった。拡散しやすい揮発性の放射性ヨウ素より多く検出されており、早い段階で金属性の放射性物質が広く飛散していた。テルルはレアメタル(希少金属)の一種で、放射性同位体のテルル132の半減期は三日余り。主にベータ線を出す。 データは保安院が三日夜に公表。三月十二日朝から十三日夜までの大気を調べたもので、大半がこれまで未公表だった。テルル132は十二日朝から昼すぎにかけ、浪江町の二カ所と大熊町、南相馬市で検出。濃度は一立方メートルあたり法定限度の二〇ベクレルを超える一一九〜二三ベクレルだった。
東京電力福島第1原発事故で、東日本大震災の地震発生直後に1号機の原子炉圧力容器か付随する配管の一部が破損し、圧力容器を取り囲む原子炉格納容器に蒸気が漏れ出ていた可能性を示すデータが東電公表資料に含まれていることが25日、分かった。 1号機への揺れは耐震設計の基準値を下回っていたとみられ、原子炉の閉じ込め機能の中枢である圧力容器が地震で破損したとすれば、全国の原発で耐震設計の見直しが迫られそうだ。 格納容器の温度データを記録したグラフでは、3月11日の地震直後に1号機の格納容器で温度と圧力が瞬間的に急上昇していたことが見て取れる。1号機では温度上昇の直後に、格納容器と圧力容器を冷却するシステムが起動し、格納容器内に大量の水が注がれた。 データを分析した元原発設計技師の田中三彦氏は「圧力容器か容器につながる配管の一部が破損し、格納容器に高温の蒸気が漏れたようだ」と語った。 東電は「空調の停止に
原発の危険性をあらためて浮かび上がらせた東京電力福島第一原発(福島県双葉町、大熊町)の事故を受け、政府は中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)の停止要請に踏み切った。「原発は安全か」。周辺住民たちは四十年来、法廷に問い続けたが、多くの裁判所は「専門的、技術的評価は司法判断になじまない」と踏み込んだ議論を避けてきた。最悪の事故が現実化したいま、「不十分な安全対策を容認してきた司法にも責任がある」との声も上がる。 原発はいつの日か 必ず人間に牙をむく/私たちがそれを忘れれば いつか孫たちが問うだろう/「あなたたちの世代は何をしたのですか」 一九八四年、福島第二原発(福島県楢葉町、富岡町)をめぐる訴訟の一審で敗訴した時、今は亡き親友が詠んだ詩は現実となった。楢葉町の自宅から持ち出した色あせた詩集を手に、原告の一人で市民団体代表早川篤雄さん(71)はいま、怒りと悔しさに震える。「何のための司法か」
福島第一原発事故を受け、政府が原子力関連組織の再編という課題に向き合っている。過去も原発事故が起きるたびに組織改編が行われてきたが、今回の事故を防げなかった。事故防止に向けた安全性のチェックと事故発生後の対応という両面で、今度こそ万全の見直しが求められる。 (大杉はるか) 事故防止に向けた組織見直しの焦点は、経済産業省の一組織である「原子力安全・保安院」の分離だ。保安院は原発の安全性をチェックする組織だが、原発を推進する立場の経産省内にあるとチェック機能を行使しにくいとの指摘もあり、経産省からの分離論が浮上している。 保安院とともに原発の安全性をダブルチェックする内閣府の「原子力安全委員会」も、権限や独立性が弱く「保安院の追認機関にすぎない」と問題視されている。菅直人首相や海江田万里経産相は「なるべく早く新たなチェック機関をつくらなければいけない」と強調。事故収束の見通しがついた時点で、本
東京電力福島第1原発事故で、文部科学省が出動させた原子力安全技術センターの防災モニタリングロボットが、敷地内に散乱したがれきのため活動できないことが30日、分かった。文科省が東電などとの共同記者会見で明らかにした。 ロボットは長さ150センチ、高さ150センチ、幅80センチで、走行用ベルトで移動。1999年の東海村臨界事故がきっかけで開発され、人が近づけない高い放射線量の場所でも、無人で操作できるはずだったが、がれきが多くて走行できなかった。 文科省によると、2台あるロボットのうち1台について東電から出動の要請があった。3D映像や表面温度の映像を撮影する機能があるが、今のところ今後の投入予定はないという。
福島第一原発の事故で、東京電力が原子炉格納容器内を水で満たす「水棺(すいかん)」作業を1号機で既に開始していることが二十日、分かった。水棺は原子炉の安定的冷却のために重要な作業。水素爆発を防ぐための窒素注入と並行して実施している。 東電が十七日に発表した事故の収束に向けた工程表では、1号機は第一段階として三カ月後までに水棺を完了し、原子炉を安定的に冷却させる。その後の三〜六カ月で原子炉を一〇〇度未満の「冷温停止状態」にする計画だ。 1号機は格納容器の圧力が2、3号機より高く、東電は気密性が比較的保たれているとみて容器内への窒素注入を七日から開始。二十日朝までに八千五百立方メートルを注入した。当初の予定では六千立方メートルを入れた時点で容器内圧力が約一気圧上がると想定したが、実際には〇・四気圧ほどの上昇にとどまり、その後低下している。東電や経済産業省原子力安全・保安院は、容器が冷えて容器内の
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