デリートマンの友人⑪「中元、これから言うことは全部オレの想像だ。証拠なんてない。ただ、オレはこれが真実だと思ってる。オレの考えを説明するよ。それからあんた、別にこの話に対して肯定も、否定もしなくていい。さっきも言ったが、おれはこれが真実だと思っている。あんたの意見なんざどうでもいい」 少し間をおいて、田坂が話始めた。麻里は田坂をにらみつけるが、田坂は意に介さない。中元はカウンターに座り、目の前にある泡盛に手をつけずに田坂の話を聞いていた。 「中元、この女との出会いやその後の関係については一通りお前から聞いてるが、一つだけお前の話で腑に落ちない点があった」 田坂は、私たちの関係を中元から聞いているのだろう。その中で出てきた疑問点ということらしい。 「お前は付き合っていく中で、『お互い魅かれあって本気になっていった』と言っていたが、それは違う。いや、お前に関してはそうでも、この女は違うんだよ」