国家を考える時にそこに問題がないことはありえないが、とりあえずおおまかな分類としてエネルギーや教育、政治、地方自治に加え医療含む福祉をどう分配するのかなどは重要な論点となるだろう。本書はその中でも特に医療について我々はどのような選択肢をとり得るのかを提示し、また現状の日本や先進諸国の医療状況はどのような状態にあるのかといった極々基本的な情報を整理してくれる一冊になる。制度が複雑化していくにつれて、全体像を把握するのが困難になっていく一方なので、こうやって情報を整理して、「おおまかにいってこれとこれとこういう選択肢がありえる」と示してくれる本はありがたいものだと思う。 僕自身は今の日本の医療状況には満足している。少なくとも突然ものすごい金がかかって、手術をしたら明日から路頭に迷う、あるいは路頭に迷うから手術を諦めるといったことはない。国民皆保険が実現しており、コストは安くアクセスもしやすい。