ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (8)

  • 医療の選択 (岩波新書) by 桐野高明 - 基本読書

    国家を考える時にそこに問題がないことはありえないが、とりあえずおおまかな分類としてエネルギーや教育政治、地方自治に加え医療含む福祉をどう分配するのかなどは重要な論点となるだろう。書はその中でも特に医療について我々はどのような選択肢をとり得るのかを提示し、また現状の日や先進諸国の医療状況はどのような状態にあるのかといった極々基的な情報を整理してくれる一冊になる。制度が複雑化していくにつれて、全体像を把握するのが困難になっていく一方なので、こうやって情報を整理して、「おおまかにいってこれとこれとこういう選択肢がありえる」と示してくれるはありがたいものだと思う。 僕自身は今の日の医療状況には満足している。少なくとも突然ものすごい金がかかって、手術をしたら明日から路頭に迷う、あるいは路頭に迷うから手術を諦めるといったことはない。国民皆保険が実現しており、コストは安くアクセスもしやすい。

    医療の選択 (岩波新書) by 桐野高明 - 基本読書
  • 書くことについて (小学館文庫 キ 4-1) by スティーヴン・キング - 基本読書

    キングによる小説作法。世の中にはいくつもの小説作法のがあって、僕もつくっている人間は何を考えているのかを知りたくて、結構読んでいたんだけど書はその中でも群を抜いて素晴らしい。最良の一冊だ。作法がよくできている、画期的なやり方だ! というわけではない。まあだいたいは過去にあるものの踏襲というか、どこかで読んだことがあるものだ。当たり前だ。そんな斬新な方法があるわけがない。それに僕は小説なんて書かないのでここに書いてあることがどれだけ的を射ているのかなんて検証もできない。 機械的な、システマチックな方法を教えてくれるわけではない。文法は教えてくれるが、それぐらいだ。書は主に第三部からなっている。キング自身が自分の生い立ちを語る自伝的な部分を第一部とすると、個人的な視点から小説創作について語った第二部、第三部はキングが死にかけた交通事故にあった後生について考えたことだ。その全てに「書くこと

    書くことについて (小学館文庫 キ 4-1) by スティーヴン・キング - 基本読書
  • 歴史家は過去を想像し、未来を想起する『歴史とは何か (岩波新書)』E.H. カー - 基本読書

    歴史と言われて思い浮かべるのは人様々だろうが僕の場合は学校の歴史の時間が最初に思い浮かぶ。年表が線上にあって、その時時でなにがあって、どんなことになったのかだけが整然と羅列していくさまをみて、覚えていくのが歴史なのだと思っていた。当然苦痛であったが、僕は歴史小説が好きだったので世界史のみは何も勉強しなくてもかなりいい成績がとれていたのが思い出深い。 それにしても今思い返しても「なぜ歴史を学ぶのか」「歴史とはそもそも何なのか」といったことを聞かされた記憶がない。もちろん言われた可能性もあるけれど、当然ながら言われなかった可能性もある。そして何を学ぶにしろ、僕はそういった「動機」とか「そもそもそれはなんやねん」っていう根的なところであるべきだといいと思う。 さもなければ、これは僕が馬鹿学生だったこともあるけれど、自分が何を学んでいるのかさっぱり理解できないまま年表を暗記すること、過去に起こっ

    歴史家は過去を想像し、未来を想起する『歴史とは何か (岩波新書)』E.H. カー - 基本読書
  • メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 (講談社文庫) - 基本読書

    地震発生、原発事故発生のリアルタイムに何が起こっていたのか、現場と政治や意思決定がどのようなプロセスの元行われたのかなどの詳細な記述から、その後の賠償責任をどうするのかの流れ、再稼働か、もしくは停止かといった判断がどのような情報の元、誰が行ったのかといったことの詳細かつ渾身のルポタージュ。約一年前に出たものに大幅加筆し、文庫化して最近でたみたいだ。 ここで明かされる内容は、かなりすごい。「未曾有の危機に対して果敢にリーダーシップと責任を負って決断する人間たち」というような前向きなすごさではなく、唖然としてしまうような責任逃れ、状況を誰も把握できておらず、組織間の情報伝達がまったく行われていない、勝手に空気を読んで保身の為の、まるで状況がわかっていない指示を出す。保身、保身、保身、能力の欠如。その結果としての、悲惨な現場。 「THE・日企業」というかなんというか。たとえば上の人間は誰も責任

    メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 (講談社文庫) - 基本読書
  • 辞書を編む (光文社新書) - 基本読書

    最近洋書をよく読む関係で辞書にはお世話になっている。 そうでなくとも辞書のお世話になったことがないという方はなかなかいないだろう。紙だか電子だかの違いはあれど、僕らは辞書を詠む前に、辞書が存在するというそれ事態について、「世の中には自分の知らない大量の言葉が、概念が、名前が、あるようだ」ということを知る。ひとつの辞書はひとつの言葉でできた世界なのだろう。 書は『三省堂国語辞典(サンコク)』の編纂に関わった著者による、辞書の創造記。普段あまり意識することもないけれど、いったいどのようにして辞書が創られていくのかを解説していってくれるのだが、どれも聞いたことがない新鮮な情報でおもしろい。大まかな流れは以下のとおり 第1章 【編集方針】――雑誌・新聞・単行をどのように作るかという方針 第2章 【用例採集】――そのことばが実際に使われた例を集める 第3章 【取捨選択】――必要なものだけを選び取

    辞書を編む (光文社新書) - 基本読書
  • 知とは何か『集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書)』 - 基本読書

    「知とは何か」という問いかけ、そして今後の時代の「知はどのような形態をとっていくのか」について書かれた一冊。知についての議論で「これまで」と「現状」と「これから」が短くコンパクトにまとまっていて、非常に刺激的だった。。 集合知とは何かを問う前にまずしなければいけない問いがあるわけだけど、それが「知とは何か」である。実際書はこの一文ではじまる⇒『「知とは何か」という問いかけは、決して、暇つぶしのペダンティックな質問などではない。むしろ、命がけの生の実践にかかわる問いかけなのだ。』知とは何かを定義してはじめて、では集合知とはなんなのかという話になる。 今はネットで誰もが割かし簡単につながれるので「集合知」という言葉がかなりの期待をもって使われている状況がある。みんなの意見を合わせれば、専門家よりも正しい意見が出る事例をたくさん集めたが一時期よく売れたりもした。『「みんなの意見」は案外正しい

    知とは何か『集合知とは何か - ネット時代の「知」のゆくえ (中公新書)』 - 基本読書
  • キリの悪い所でやめるメソッド - 基本読書

    小ネタ。よく学習法で「一日たったの五分でOK!」みたいな謳い文句で売り込んでくるケースが見受けられるが、あれは信用ならない。なぜなら何においても「はじめる」のが非常に億劫なのであって、一度はじめてしまえば五分なんていわずに二十分でも三十分でもできるものである。そういう経験がだれにでもあるのではないだろうか。 五分でOKなのか! と喜び勇んでやってみてもその五分の壁が厚い。その壁さえ乗り越えてしまえばあとはすいすいできる。なぜはじめるのだけがやたらと難しいのか理由はわからない。はじめるとやる気成分が出てくるみたいな話をどっかで読んだような気もする。だから問題は一日に何分でOKというその時間の短さではなく、いかにして始めるかだ。 MORI LOG ACADEMYという作家の森博嗣さんの著作の中で「キリの悪いやめ方を心がける」というメソッドが出てくる。これがなかなか素晴らしいメソッドで、もう長い

    キリの悪い所でやめるメソッド - 基本読書
  • 良い読者である為にはなにが必要なのか - 基本読書

    ナボコフは自身の文学講義の中で良い読者になるためにはどうあるべきか、次の十の定義から四つを選びなさいといった。 1  読者は読書クラブに属するべきである。 2  読者はその性別にしたがって、男主人公ないし女主人公と一体にならなければならない。 3  読者は社会・経済的観点に注意を集中すべきである。 4  読者は筋や会話のある物語のほうを、ないものより好むべきである。 5  読者は小説映画で観ておくべきである。 6  読者は作家の卵でなければならない。 7  読者は想像力をもたなければならない。 8  読者は記憶力をもたなければならない。 9  読者は辞書をもたなければならない。 10 読者はなんらかの芸術的センスをもっていなければならない。 さて、あなたなら何を選ぶか。この十の定義は良い読者であるために必要なものを選別することはもちろん、選ばれなかった六つの定義を用いる読者に陥ることを戒

    良い読者である為にはなにが必要なのか - 基本読書
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