中国の景気減速が世界を揺るがせている。その背景には、米中貿易摩擦だけでなく、根深い構造問題も潜んでいる。ジャーナリストの高口康太さんが現地ルポをお届けします。【週刊エコノミスト編集部】 ◇上場前の価値評価が高すぎた 2月中旬の上海を訪れた。最高気温が13度を超える日もあり、例年に比べて暖かな陽気のせいか人通りが多かった。旧正月のお祭り気分が残る百貨店は、干支(えと)の豚を模した派手な飾り付けが施され、高級ブランド店にも客の姿が目立つ。活気づく街からは、中国経済の減速は感じられない。 しかし、中国の成長の原動力でもあるベンチャー業界の関係者は、異変を感じ取っている。ベンチャーキャピタル(VC)や起業家はそろって「資本の厳冬」という言葉を口にした。 中国のVC市場は2018年以降、明らかに失速している。清科研究センターの報告書によると、18年の中国VCの調達額は前年比13%減の3025億元(約