作家、コラムニスト/ブレイディみかこ 英国在住の作家・コラムニスト、ブレイディみかこさんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、生活者の視点から切り込みます。 * * * ロイヤル・ナショナル・シアターで「Grenfell: in the Words of Survivors」を見た。2017年にロンドンで起きた高層住宅火災を描いた演劇だ。火災が発生したのは富裕層が住む区として知られるケンジントン・アンド・チェルシー区の低所得者向け高層住宅、グレンフェルタワー。72人の死者を出した大火災は、世界中のメディアに報道された。 この作品の脚本は生存者たちがメディアなどで話した言葉だけで構成されている。各人の経験や人生などが俳優たちに語られていき、時に朴訥(ぼくとつ)とした作られていない言葉の数々が、観客の中にある感情を呼び覚ます。それはあの時に感じた怒りだ。 英国で
作家、コラムニスト/ブレイディみかこ 英国在住の作家・コラムニスト、ブレイディみかこさんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、生活者の視点から切り込みます。 * * * 英国政府の新型コロナウイルス対策に関する独立調査委員会の公聴会にキャメロン元首相が呼び出された。「なぜキャメロン?」と思う人もいるかもしれない。彼は2016年に退任し、コロナ禍が始まる3年前には政界を引退していたからだ。 しかし、そこが「しつこい」ことで知られる英国の独立調査委員会だ。国がパンデミックの可能性を想定せず、準備を怠っていたとすれば、コロナ禍前の政府にも責任の一端がある。だから何代も前の首相に遡(さかのぼ)って責任の追及が行われているのだ。 特に委員会が問題視しているのは、2010年から首相を務めたキャメロンの下で行われた大規模な緊縮財政政策の影響だ。予算を削減されたNHS(国民
作家、コラムニスト/ブレイディみかこ 英国在住の作家・コラムニスト、ブレイディみかこさんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、生活者の視点から切り込みます。 * * * 今号から当コラムを担当する。この時期というのも何かの縁だと思う。私は1996年から英国在住だが、今年は当時を思い出すことが多いからだ。あれは、1979年から続いていた保守党政権の支持が落ち、翌年の総選挙で大勝した労働党が旋風を巻き起こしていた年だった。サッチャーからメージャーへと続いた保守党政権から、ブレアの労働党へと、政権交代が起きる前年に私は英国に来たのだ。 来年、英国では総選挙が行われる。そしてちょうどあの年のように、2010年から続いている保守党政権がじり貧の状況だ。5月に行われた地方選でも大幅に議席を減らした。嘘を重ねて保守党への信頼を失墜させたジョンソン元首相や、記録的な物価高の
リシ・スナク氏と妻のアクシャタ・ムルティ氏。英ロンドンで開かれたイベントで(2022年2月9日撮影、資料写真)。【翻訳編集】 AFPBB News 【AFP=時事】英国の新首相に就任したリシ・スナク(Rishi Sunak)氏(42)は、投資ファンドでの勤務経験があり、妻との共同保有資産が推定7億3000万ポンド(約1200億円)に上ることから、野党勢力からは、生活費の高騰にあえぐ庶民の感覚を理解できないとやゆされている。 【写真】プラダの高級靴を履いて建設現場を視察したスナク氏 左寄りの英紙ガーディアン(Guardian)は「7億3000万ポンドの財産を持つリシ・スナク氏、首相としては金持ち過ぎる?」と題した記事を掲載した。 野党・労働党のナディア・ウィットム(Nadia Whittome)議員はツイッター(Twitter)に、「スナク夫妻は7億3000万ポンドの財産の上に腰を据えている
週明け26日の外国為替市場では、イギリスの通貨ポンドがドルに対して急落し、1972年の変動相場制に移行したあとの最安値を記録しました。 イギリス政府が打ち出した大型減税を柱とする経済政策の発表をうけて財政が悪化するとの懸念からポンド売りが加速しました。 イギリス政府は先週23日に所得税の最高税率の引き下げや法人税率の引き上げの凍結など大型減税を柱とする経済対策を発表しました。 これを受けて財政悪化への懸念から通貨ポンドを売る動きが強まり、週明け26日の外国為替市場でもこの流れが続きました。 ポンドはドルに対して一時、1ポンド=1.03ドル台と1972年に変動相場制に移行した後の最安値を記録しました。 トラス首相が今月上旬に発表した光熱費の抑制策をめぐってイギリス財務省は巨額の国債増発を表明しており、市場では財政への信頼が揺らぐ状況となっています。 市場関係者は「1ポンドの価値が、初めて1ド
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