世界全体で売上部数250万部を超えた異例の経済書『21世紀の資本』が映画となって3月20日から日本で公開される。原作者のトマ・ピケティが映画公開に先立ってパリで催された試写会・トークイベントに登場し、新型コロナウイルスや中国における検閲、米国の政治状況について語った。 分厚い本を読まない人にも格差について知ってほしい 行列に並んで店に入ったものの、買いたかった商品は棚にない。マスクや消毒用アルコール、トイレットペーパーのことではない。店の棚はほぼ空っぽ。食べられそうにない悪臭のする肉などが売られているだけだ──。 映画版『21世紀の資本』は、共産主義体制が崩壊した東側諸国のそんな悲惨な光景から始まる。原作者のトマ・ピケティは学生時代に、そんな東側諸国を旅して、内側からその惨状を見たと映画で語る。 「共産主義の欺瞞が白日のもとに晒され、資本主義が支持されることになりました。ただ、問題はそれが