あんころもちが食べたい 昔、永明寺山のふもとに、ふんどし一丁の子供がいた。いつもいつも「あんころもちが食いてーなー」と言っては、おっかあに作ってもらっていた。 ところがある日の事、おっかあは年を取って死んでしまった。一人になってしまった子供は、しょんぼりと「あんころもちが食いてぇ」と泣いた。毎日毎日、「あんころもちがくいてーよー」と泣く子供のために、天国のおっかあが夢枕に立った。おっかあは「あと2回だけあんころ餅を食べさせてあげる」と約束してくれた。 朝になり目が覚めた子供は、さっそく空に向かってふんどしを投げつけた。しばらくして空からスルスルとふんどしが下りてきて、中には重箱に詰まったあんころもちが入っていた。夢中になって全部たいらげた子供は、天国のおっかあにお礼を言った。 ある日、村の見回りのために通りかかった殿様が、子供の「あんころもちが喰いてー」の声を聞いて自分も餡ころ餅が食べたく