80年代は松任谷由実をよく聴いた。レコード(CD)も聴いたし、テレビでも、街にもよく流れていた。東京にいても海に行ってもスキーに行っても、ユーミンの声が聴こえてきた。 ただ聴こえてきたということじゃなくて、彼女の歌詞は、届けたい相手をはっきり見定めて書かれているようなところがあるから、ストーリーが重なったときの「この歌!」感がハンパなくて、よけいに印象に残っているのかもしれない。 たとえば、もしあなたが「NO SIDE」を聴いた頃にラグビーに関係していたなら、その歌詞を聴いただけで心が熱くなっただろうし、「青春のリグレット」を聴いた頃につらい別れを経験していたならサビのフレーズが耳について離れなくなっただろうし、親友の結婚に寂しさを感じている頃に「続・ガールフレンズ」を聴いたら、わけもなく泣けてきたんじゃないかと思う。 ぼくのきわめつけは、「リフレインが叫んでる」だった。 1988年11月