2017年に創設された「すばるクリティーク賞」。評論の新人賞が減少傾向にあるなか、文芸誌「すばる」の編集部が主催し2021年で4回目を迎える。1月6日発売の「すばる2月号」で発表された2021年の受賞作は、西村紗知さんによる「椎名林檎における母性の問題」だ。 この論考では、J-POPのフロントランナーの一人、椎名林檎の作品における表現の特異性を論じながらも、彼女の楽曲や発言から、すべてのものを無批判に受け入れる「母性原理」が全面化していることを指摘。そしてそれは、日本の大衆の主体性のなさ、成熟できなさを映し出してしまっていると鋭く論じ、発表直後から大きく話題を呼んだ。西村さんはなぜ、椎名林檎を論じたのか。音楽を中心に、表象文化全般について執筆活動を行う批評家、伏見瞬によるインタビューを通して、その意図に迫る。 椎名林檎という音楽家は、西村さんにとってどんな人ですか。 間違いなく、永遠の憧れ
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