フェリックス・サーモンによると、「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」や「The Black Swan: The Impact of the Highly Improbable」の著者ナシーム・ニコラス・タレブが、ロバート・マートンに喧嘩を売っているらしい。 事の発端は、タレブのこの共著論文(2005年4月15日付け)。これによると、ブラック・ショールズ式の導出の前提となっているダイナミック・レプリケーションは実際には実行不可能で、本当はもっと現実的な仮定で簡単に導出できるとのこと。 以前のエントリで説明した通り、ブラック・ショールズ式の導出に当たっては、株価の確率過程を前提とし、コール1単位の売りと株式Δ単位の買い*1を連続的に行なえば、それが無リスクのポジションになることを利用している。しかし、そうした連続的なダイナミック・ヘッジングは現実には不可能だ、というのがタレブの批