ちょっと思い出話を。 一九九〇年代と二〇〇〇年代の間の頃のことである。僕はアメリカで大学を卒業したあと、帰国して法政大学の大学院に進学した。日本の大学生活というものを知らなかったし、それらしいことを体験してみたいと思って、「そうだ、サークル活動だ!」と思い立った。 アメリカには(少なくとも 僕がいた二つの大学には)サークルというものはないのである。スポーツをしたい場合は、大学のチームに入ってやる他はない。映画研究会とか落語研究会のような文化系のサークルは皆無であった。 ちなみに、ゼミというものもないので、僕はいまでもゼミというのが何をするところなのか知らない。 大学院には単位互換制度という便利な仕組みがあって、別の学校の講義を履修しても、それが認められたクラスであれば、自分の単位として数えられるのである。日本のキャンパスライフを満喫したかった僕は、家から近かった立教大学のクラスをひとつ取る