サムスン電子の会長にオーナーのイ・ゴンヒ(李健熙)氏が復帰して1カ月。トヨタの品質問題を戒めに、「慢心してはならない」と社内の危機感を高める。10年で売上高を4倍にする目標を掲げ、新事業を育成する戦略を加速する。 日本の電機大手を業績で圧倒する韓国のサムスン電子。背任などを問われて約2年間会長職を離れていたグループのオーナー、イ・ゴンヒ(李健熙)氏が、会長に復帰して1カ月が経った。 2009年夏に有罪が確定したが、同年末に異例の特別赦免を受けて、表舞台に再登場した。強い影響力を持つオーナー会長が戻ってきたサムスンでは、どのような変化が起きているのか。 まず目立つのは、サムスン社内で危機意識が高まっていることだ。「好業績に浮かれてはいけない。今のサムスンの主力事業は10年でなくなる可能性がある」。イ会長は社内向けのビデオレターでこう語り、慢心することを強く戒めている。 お手本企業の挫折に衝撃