ブックマーク / eman-physics.net (6)

  • 物理数学:SO(3)とSU(2)の関係

    直観が頼りにならない SO(3)とSU(2)が出てきたので両者の関係について少し書いておこう. SO(3)は 3 次元での回転と同じ対称性を意味しており直観的に把握できた気分になる.対して SU(2) の方は 2 次元とは言ってもその成分が複素数であり全体像がイメージしにくい. ところがその構造を調べてやると意外にもSO(3)の方が複雑で,SU(2)の方があっさりしているのである. SO(3)は構造が複雑 3次元空間での回転と言っても,あらゆる方向を軸として色んな回転の仕方があるのである. ボールを手に持って回し,色んな方向を向ける様子を思い浮かべてみて欲しい.無意識に行っているかも知れないが,次々と色んな軸に沿った回転をさせている. 球面上のある一点をどこか別の点へ移動させるのも回転の一つだが,それを実現したときの球面全体の姿勢というのは一通りではない.回転にバリエーションがありすぎて,

    物理数学:SO(3)とSU(2)の関係
  • 素粒子論:S行列の計算法

    相互作用描像が便利! 今回の話では量子力学のところで出てきた「時間発展演算子」と「相互作用描像」の知識を使う.思い出してもらうためのおおまかな説明をしながら進むので,あらかじめ読み返しておく必要はないと思うが,どうしても納得が行かないことが出てきたらそちらの記事に戻って確認してみて欲しい. 量子力学では,時間経過によって状態の方が刻々と変化していくのだと考える「シュレーディンガー描像」と,状態は変化せずに演算子の方が変化していくのだと考える「ハイゼンベルク描像」があって,どちらも数学的には同等なのであった.そして,その中間的な解釈をする「相互作用描像」というものもあるのだった.これはハミルトニアンを「厳密に解ける自由粒子を表す項」と「相互作用を表す項」とに分けて考えるものである. この相互作用描像というのは演算子も状態もどちらも時間変化するという解釈である.演算子の方は自由粒子のハミルトニ

    素粒子論:S行列の計算法
    dorawii
    dorawii 2022/12/27
    時間順序積
  • 相対性理論:テンソル解析

    省略記法 座標変換の計算というのは似たような記号を沢山書き並べなくてはならないので非常に面倒くさい.ちなみにこれは前回やった共変ベクトルの変換式だ. 前回はイメージを描くことを重視したので,座標変換の規則を書く時にわざわざ,,成分についての 3 通りの式を並べて書いたが,解析力学でもやったようにベクトルの成分をのように添え字を使って区別してやり,さらにこれをのように表して「には 1 ~ 3 の数字が入ります」と決めておけば,式は一つ書くだけで十分だ. 添え字を導入して記号を使えば,さらに簡略化して書くことが出来る. こうしておけば「,にはそれぞれ 1 ~ 3 の数字が入るとします」と言う代わりに「0 ~ 3 の数字が入るとします」とするだけで話を 4 次元に拡張できて便利なわけだ. しかし,簡略化はもっと極端なところまで進む.記号も書くのをやめてしまおうというのである.「無茶な!!」と思う

    相対性理論:テンソル解析
    dorawii
    dorawii 2022/12/25
    “2 階から 0 階へのごくせまい意味の縮約”1階から0階じゃなく?
  • 相対性理論:反変ベクトル・共変ベクトル

    ベクトルには位置ベクトル,速度ベクトル,電場ベクトルなど色々あって,座標変換するとその成分が変更を受けることになるわけだが,その時にどのようなルールで変換されるかによって二通りに分類される. 一つが「反変ベクトル」であり,もう一つが「共変ベクトル」である.いや,口が下手で申し訳ない.どちらのルールにも従わないベクトルもあるので,全てのベクトルがこのどちらかに分類されるというわけではない. 反変ベクトルの方が身近なのでこちらから説明しよう.例えば位置の微小変化を表すベクトルを考える.これを別の座標系で表したい時には次のような座標変換の計算をすることだろう.これは多変数の微積分の基礎なので,分からなければあまり悩まずに受け入れるか,その辺りの教科書に立ち返るのがいいだろう. これと同じ変換規則を持つものは全て「反変ベクトル」と呼んでやろうというわけだ.「反変」などという呼び方をするのは次のよう

    相対性理論:反変ベクトル・共変ベクトル
    dorawii
    dorawii 2022/12/25
    二次元のとき具体的に成り立つくだりのとこ
  • 量子力学:ベルの不等式

    量子力学は間違っている? アインシュタインは量子力学に反対した.しかし決して邪魔したわけではない.彼は人一倍考えていた. 真剣になって考え,反対してくれる人がいるのは心強いものだ.誰もが彼に相談に行く.厳しい反対者でさえ認めるくらいの理論が作れれば理論は完成したと見ていい.それほど彼は信頼されていた.彼は目立たないところにいたが常に量子力学建設の中心人物の一人だったのだ. いや待てよ,当に中心だったかなぁ……?脇の方でボーアとアインシュタインが論争していてくれたお陰で,他の人たちが自分の研究に集中できたという雰囲気も感じないではない. 彼は量子力学に弱点を見つけた.理論にほころびがあると指摘した.多くの人がその点を修正してより良い理論を作ろうと思った.一方,無視して理論を発展させることに集中した人も多くいた. EPRパラドックス その弱点を指摘した論文は弟子たちと連名で発表したため,「ア

    量子力学:ベルの不等式
  • 物理数学:群論の軽い説明

    リー群は群論の一部 これから「リー群」または「リー代数」と呼ばれる分野について説明したいと思う.リー群は「群論」と呼ばれる数学の一部分ではあるが,独立した一分野のような広がりを持っている.群論の教科書を開いてみても「リー群」の話は紹介程度にしか載っていないことが多い. 群論の初歩については分かりやすいも多く出ているので,私が説明する必要を感じない.群論を学ぶには多くの具体例を知っておくのがいいと思う.私はできるだけさっぱりとまとめて説明したい質(たち)なので,多くの具体例をいちいち紹介するような説明が苦手なのである. しかし「リー群」というのが何なのかを説明するためには,「群論」というのがそもそも何なのかを少しくらいは説明しておく必要がある.読者はこの先を読み進む前に群論の教科書を何冊か,それぞれの教科書を分かるところまで読んでおいてもいいが,予備知識がほとんどなかったとしても,私のざっ

    物理数学:群論の軽い説明
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