新型コロナウイルスの問題については、本業の期末集中が終わってから書こうと思っていましたが、近日の欧州や米国における動向などを考えると早く書いた方がよいと思いました。少し雑な部分もできてしまうかもしれませんが、新型コロナウイルスの感染制御について、理解していることをまとめてみます。 封じ込め(containment) vs. 緩和(mitigation) 感染制御には『封じ込め(containment)』と『緩和(mitigation)』という2つの基本的対策があります。このことが広く一般に知られるようになったのは、3月12日のジョンソン英国首相の声明がきっかけであったといえるかもしれません。簡単に言うと、ジョンソン首相の声明は『封じ込め(containment)』を諦め『緩和(mitigation)』へ移行するというものでした。 (5)自分は英国民に対して正直に言わなければならない,より多
今年もあと数日を残すのみとなりました。今年も色々なことがありましたが、その中で悲しい出来事の一つに『首里城の焼失』が挙げられるでしょう。一方、今年は『日本版フェアユース』ともいわれる柔軟な権利制限規定が著作権法で施行された年でもありました。そこで、『首里城の焼失』と『日本版フェアユース』の両方に関係するテーマで少し書きたいと思います。 首里城の火災は今年(2019年)に起きたことの中でも最も悲しい出来事の一つといえるでしょう。この火災によって、正殿を含め首里城の多くの建物が消失してしまいました。沖縄の人たちが感じる喪失感を思うとやりきれない気持ちなります。 首里城のデジタル復元 沖縄の人たちだけでなく多くの人々が復元を願う首里城ですが、物質的な復元はすぐにはできないかもしれません。一方、デジタル復元であれば物質的な復元よりも早く取り組むことができます。そして実際、首里城のデジタル復元プロジ
国土地理院のWebサイトで水害が発生した地区の標高を可視化しました。facebookにも公開したですが、こちらにも公開しておきます。見るからに水害が発生するだろう地形の場所で水害が発生していることがよく解ります。 武蔵小杉駅の周辺 横須賀線の武蔵小杉駅の周囲は明らかに窪地になっています。 当初、多摩川の氾濫であるような情報もありましたが、実際には窪地であるが故に水が溜まってしまったのでしょう。この地域は大昔は多摩川だったという話も標高図からもよく解ります。 市民ミュージアム(等々力緑地) 等々力緑地は、遊水地として活用することを前提に整備すべきだったのかもしれません。横浜国際競技場(日産スタジアム)は、鶴見川の遊水地にありながらも、台風の次の日にラグビーの試合を行えたのですから、その前提に作っておけばミュージアムを水没させることはなかったはずです。 参考のために 横浜国際競技場(日産スタジ
台風接近のために 2019年7月27日から延期となっていた第55回判例研究会は、 2019年9月28日(土) になりました。 【日 時】 2019年7月27日(土) 【延期】 2019年9月28日(土)17:30~20:30 第54回判例研究会 17:30~19:00 第55回判例研究会 19:00~20:30 【場 所】 東京理科大学 理窓会会議室 「PORTA神楽坂」6階第1会議室 http://tus-alumni.risoukai.tus.ac.jp/access/hall ※各線飯田橋駅より徒歩1~3分 【参加費】 会員:無料 一般(非会員):1,000円/日 ※判決文はご持参ください 【参加申込】https://fs223.formasp.jp/c358/form6/ ■第55回判例研究会 報告者:野口明生氏(デライブ知的財産事務所 代表弁理士/博士(理学)) ・知財高判平
本日(8/27)、特許事件(進歩性)の最高裁判決がなされました。争点は「発明が予測できない顕著な効果を有するか否か」です。 本件最高裁判決の判旨は以下の通りです。 原審は,結局のところ,本件各発明の効果,取り分けその程度が,予測できない顕著なものであるかについて,優先日当時本件各発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができなかったものか否か,当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるか否かという観点から十分に検討することなく,本件化合物を本件各発明に係る用途に適用することを容易に想到することができたことを前提として,本件化合物と同等の効果を有する本件他の各化合物が存在することが優先日当時知られていたということのみから直ちに,本件各発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定して本件審決を取り消したものとみるほかなく,このような原審の判断には,
目次 1.はじめに 2.リツイート事件の概要 3.キュレーションサイト問題の概要 4.2 つの事案の比較 5.送信可能化行為の定義 6.ファイルローグ事件との相違点 7.送信可能化行為の柱書要件 8.行為主体の問題 9.おわりに(まとめ) 1.はじめに 東京地判平成 28 年 9 月 15 日(平成 27 年(ワ)第 17928 号) [リツイート事件]は,著作権を侵害する画 像のツイートをリツイートする行為の著作権侵害を否 定し,その判断の根拠として,リツイートがインライ ンリンクの自動設定によって行われることを指摘して いる。 一方,画像の直リンクの著作権侵害性が議論となっ た問題として,DeNA 社のキュレーションサイト問題 が知られている。画像の直リンクに関する批判は多 かったものの,DeNA 社が公表した第三者委員会調査 報告書では,直リンクは,著作権侵害ではなく,倫理 上の問題
研究者やグーグル、Apple、CYBERDYNEなど名だたる企業から人材が集まる(画像をタップすると高解像度版を表示します)。 取材をもとにBusiness Insider Japanが作成 メルカリが上場し、日本で有数のユニコーン(未上場で企業価値10億ドル以上の企業)とされるプリファード・ネットワークス(以下、PFN)。 トヨタやファナック、日立製作所など日本を代表する技術系大手企業から資金を調達し、事業面でも連携を進める、いま日本でもっとも注目を集めるスタートアップの1社だ。 PFNが開発したオープンソースの深層学習フレームワーク「Chainer」は、世界中の企業や開発者に利用され、AIの研究開発の最前線に食い込んでいる。 そのPFNは、プリファード・インフラストラクチャー(PFI)から分社する形で2014年3月に創業、現在の社員数は150人を超えた。そして、いまなお優秀な技術者が集
ノーベル賞を受賞した本庶先生が、このノーベル賞の対象となった研究から開発されたオプジーボの特許に関する対価に関して不服を持っていることが報道されました。本庶先生のご発言から察するに、自身の研究成果のことだけにとどまらず、産学連携のあるべき仕組みを見据えての行動であるように思われます。この件については、Facebookでも少し述べているのですが、もう少し詳しく書いておこうと思います。 上記Facebookでも指摘したのですが、今回問題となっている特許契約は、通常のライセンス契約ではなく、『不実施補償』といわれる契約です。この不実施補償というのはあまり馴染みのない契約なのでこの契約について簡単に説明します。 不実施補償と共有特許権の実施権 調べた限りでは、オプジーボに関する特許権のほとんどが本庶先生と小野薬品工業で『共有』しているようです。それどころか、持ち分が1対1であるという報道もあります
拙稿「課題自体で特定された発明のサポート要件について」がパテント誌に掲載されましたので、日本知財学会で使用した発表資料とともに、このページに公表しておきます。 日本知財学会の第47回判例研究会 2018年11月17日(土)に日本知財学会の第47回判例研究会に登壇しました。 【日 時】 平成30年(2018年)11月17日(土)17:15~20:30 ・第46回判例研究会 17:15~18:45 ・第47回判例研究会 19:00~20:30 【場 所】 東京理科大学 理窓会会議室「PORTA神楽坂」7階第2会議室 https://www.tus.ac.jp/info/campus/kagurazaka.html ※地図3番の建物です ※各線飯田橋駅より徒歩1~3分 【参加費】 会員:無料 一般(非会員):1,000円/日 ※判決文はご持参ください ・第47回判例研究会 19:00~20:30
先進国の学習到達度調査PISA(ピサ)はその順位が大きく報じられることもあってよく知られていますが、PIAAC(ピアック)はその大人版で、16歳から65歳の成人を対象として、仕事に必要な読解力、数的思考能力、ITを活用した問題解決能力を測定したものです。24カ国・地域において約15万7000人を対象に実施され、日本では「国際成人力調査」として2016年にその概要がまとめられています。 ヨーロッパでは若者を中心に高い失業率が問題になっていますが、その一方で経営者からは、「どれだけ募集しても必要なスキルをもつ人材が見つからない」との声が寄せられていました。プログラマーを募集したのに、初歩的なプログラミングの知識すらない志望者しかいなかったら採用のしようがありません。そこで、失業の背景には仕事とスキルのミスマッチがあるのではないかということになり、実際に調べてみたのです。 このテストは日本でも行
知財高判平成30年10月17日(平成29年(行ケ)第10232号)[いきなり!ステーキ事件]における発明該当性について解説します。この事件は判決がされた当初からマスコミなどでも取り上げられ大きな話題となりました(例:1、2等)。一方、この事件は不正確な理解や伝えられ方もされているように思います。そこで、判決でなされた発明該当性の判断について少し詳しく解説します。 先日(12日)の知財学会・判例研究会の題材の一つは「いきなり!ステーキ事件」でした。正直なところ当日は十分な事前検討をして臨んでいなかったので、その際には必ずしも有益な指摘をすることができなかったように思います。その反省の意味を込めて判決文を再検討したところ、幾つかの点でこの事件の判決は誤解されていると思うに至りました。 なお、私にとっても、この事件の最初の印象は「こんなものが発明に該当するなんて!」というものでした。しかしながら
文化庁著作権課のFAQ「デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定に関する基本的な考え方について」に関する追記部分へジャンプ。 第196回通常国会において成立した「著作権法の一部を改正する法律」 の施行期日が平成31年(2019年)1月1日に迫っていますので、 「人工知能(ディープラーニング)」「リバースエンジニアリング」「解析用データベース」 など情報処理技術に大きく関連する新30条の4について少し解説しておきたいと思います。 「平成30年著作権法改正」では、主に以下の4点について権利制限規定の整備が行われました。 デジタル化・ネットワーク化の進展に対応した柔軟な権利制限規定の整備 教育の情報化に対応した権利制限規定等の整備 障害者の情報アクセス機会の充実に係る権利制限規定の整備 アーカイブの利活用促進に関する権利制限規定の整備等 この「柔軟な権利制限規定」は、過去に「
【読売新聞】 ブロッキング法制化の是非を巡って対立を深めていた知的財産戦略本部の海賊版サイト対策検討会は10月15日、検討会としての「とりまとめ」はおろか、審議状況の報告さえ出せないまま会議を無期延期とした。前代未聞の幕引きとはいえ
公益財団法人 統計情報研究開発センターが刊行している統計と情報の専門誌「エストレーラ」の8月号に拙稿「統計情報と特許法上の発明の関係」を寄稿させて頂きました。そこで、以下でもその概要を紹介しておきたいと思います。 近時、人工知能(AI)やビックデータなどの技術革新に伴い、いわゆる「第4次産業革命」の実現が期待されています。これに対応するために、特許実務でも特許・実用新案審査ハンドブックの附属書A及び附属書BにIoT 関連技術等に関する事例が追加されました。 一方、人工知能(AI)に対する過度な期待から、人工知能(AI)の出力を無反省に信じ込んでしまう事例も目立っているように思います。 2017年7月22日にNHK総合で放送された「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン」では、社会問題解決型AI(人工知能)が導いた「健康になりたければ病院を減らせ」などの提言を放送し、多くの批判を受けたよ
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