日本の魚の養殖技術は日々進んでおり、クロマグロでさえ完全養殖が可能になった。早稲田大学教授で生物学者の池田清彦氏は「サバにマグロを生ませる」という新しい方法について説明する。 * * * 今年の初競りで一本1億5540万円もの値がつくなどして、もはや貧乏人には高嶺の花となった感のあるクロマグロだが、完全養殖に成功している。ただしコストがかかる。稚魚が成魚にまで育つ歩留まりが悪いのと、卵を産む親魚まで育てるのが大変なためだ。そこで、サバにマグロを産ませることができれば、後者の問題はクリアできる。サバはマグロよりずっと小さく飼育も容易だからだ。 そんなことできるわけないって思うでしょうが、やろうと思えば可能なのである。魚ではA種の魚にB種の卵を産ませることができるのは大分前から分かっていたが、このほど東京海洋大学の吉崎悟朗教授は、冷凍保存したヤマメの精巣とニジマスの稚魚を使って、ヤマメの卵