朝、登校すると教室の黒板いっぱいにチョークで描かれた芸術作品が――。そんな出来事が首都圏の小中高校で相次いでいる。仕掛けたのは武蔵野美術大(東京都小平市)の学生たち。始業とともに消されてしまう時間限定のアートが、美術の楽しさを子どもたちの心に刻んでいる。 「何これ、めっちゃすごい」「リアルすぎて、つま先から感動」 埼玉県朝霞市の市立朝霞第四中学校に登校してきた生徒たちが次々に声を上げた。4日午前8時前。3年生の5クラスの黒板と廊下の窓に作品が現れた。 学生たちの黒板ジャックだ。前日のうちに14人が2人1組にわかれて「卒業」をテーマに制作。チョークの先を削ったり、ティッシュやはけでぼかしたり、半日がかりで仕上げた。 歓声が上がってから1時間足らず。絵は生徒たちの手で消された。通常の授業で黒板を使うため、始業前に消すのがルールだ。 同大のプロジェクト「旅するムサビ」で、学生が外部講師として小中