物干し竿に吊されるおばあちゃん、ゴミ袋の中でうずくまる老婆。掲載されているこれらの写真は、決して老人虐待の証拠ではない。フォトグラファー・西本喜美子による自作自演のオリジナル作品だ。自虐とユーモアが絶妙なバランスで共存する自撮り写真によって一躍有名になった西本は、72歳から写真を始めたというスーパーおばあちゃんだ。 息子の和民(かずたみ)氏は〈遊美塾〉という写真教室を主宰しているアートディレクター。自宅には生徒たちがよく遊びに来ていたそうで、そのたびに「喜美子さんも一緒に写真やろうよ!」と焚(た)きつけられ、えいやと写真の世界に飛び込んだ。 「塾で写真の撮り方やパソコン操作の基本は覚えたけど、私には難しいことはわからない。先生も、“画質や構図を気にするよりも、大切なのは見る人の心に響くかどうか”と言っています。だから私も細かいことは気にせんようにしています。その代わり、面白い写真になるよう