『ライフ・アフター・ライフ (海外文学セレクション)』 ケイト・アトキンソン,青木 純子 東京創元社 3,960円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto これは、ひとりの女性の人生、第二次大戦を挟んだ激動の歴史、そして、なにより「記憶の物語」だ。外形的には時間ループSFとも言えるが、そう称されるおおよその小説が依拠している機械論的時間観とは一線を画す。 冒頭の一章が印象的だ。1930年11月、ドイツのカフェに入ってきた女が、ひとりの男を銃撃する。いささかの躊躇もなしに。撃つときに「フューラー」と呼びかけて。 女の名前はアーシュラ。 次の章は一転して、1910年2月11日。女の赤ん坊の誕生シーンだ。悲しいことに、この子は臍の緒が首に巻きついて死ぬ。 つづく章で、ふたたび1910年2月11日の、同じ場面が繰り返される。しかし、今度は、無事に生