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ブックマーク / goldhead.hatenablog.com (114)

  • 君のマグカップは、ずいぶん小さかったのだな。 - 関内関外日記

    君のマグカップは、ずいぶん小さかったのだな。 手にとって洗ってみて初めてそう思った。 君が帰らなくなってもう三日経った。 三日経って初めてマグカップを洗った。 ずいぶんといけない夜を過ごしたものだった。 君が「ココナッツの香りがする」と言ったことを、 ぼくはまだ解せずにいる。 「宇宙は一つの林檎であり、人間はその種子である」。 崩れかけたコンクリートの階段を下った。 砂浜には波が押し寄せた。 そして、引いた。 どこまでも淡い青色だった。 (空も、海も)。 一艘の舟が打ち捨てられていた。 まるで昔の名前のように。 あのとき競馬場にたなびいていた煙草の煙のように。 君は二度と帰らない。 君の夢のように帰りはしない。 おれは飛行機の乗り方も知らないし、 背中に羽根もはえていない。 どこかに飛んでいけたらいいのにな。 はい。 すべての馬は薔薇のために走り、 おれは追憶の香りの中を生きる。 すべての

    君のマグカップは、ずいぶん小さかったのだな。 - 関内関外日記
  • 『へうげもの』が終わってしもうた - 関内関外日記

    へうげもの(25) (モーニングコミックス) 作者: 山田芳裕 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/01/23 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る おれはかつてそれなりに漫画を読んでいたが、実家喪失と同時に週刊、月刊誌を読む習慣もなくなり、それまで読んでいた漫画を単行で追うことも少なくなっていった(最初は普通に買う金がなかった)。 そんな中でも、「これは」という漫画に出会うことがあって、『へうげもの』はそんな作品の一つだった。「単行が出たら買う」枠に入った。 山田芳裕というと、おれは『ジャイアント』という野球漫画を思い出す。巨漢の主人公が「ぼかぁ」という一人称で喋っていたように思う。ともかく、大胆で迫力ある描写が好きだった。 『度胸星』は未読だ。評判はすこぶるいいようだが、未完だという話だからだ。そんな蛇の生殺しのようなものは……読みたいけど、読みたくな

    『へうげもの』が終わってしもうた - 関内関外日記
  • 栃ノ心について - 関内関外日記

    関係者各位 寒気ことのほか厳しく、葉物野菜の値も下がらぬ寒冷のみぎり、如何お過ごしでしょうか? 栃ノ心が勝っている。優勝しそうな勢いだ。 正攻法で賜杯引き寄せる=栃ノ心、初優勝に王手-大相撲初場所 (時事通信) - Yahoo!ニュース 力自慢とはいえ、215キロの巨体と胸を合わせれば勝手が悪い。それでも小細工なしで、ともに得意の右四つがっぷりでの勝負を挑んだ。相手の上手が切れたところで、すかさずまわしを引き付けて前へ。「自分の相撲を取れてよかった」。勝機を逃さない攻めだった。 右膝の大けがをし、前に出る意識をさらに強くしたことで、正攻法の取り口に磨きがかかった。土俵下の藤島審判長(元大関武双山)は「逸ノ城とがっぷりで寄り切るのは栃ノ心くらい。横綱、大関でもなかなかない。それくらい力強い」と、地力を認める。 おれは土曜日や日曜日、おおよそ競馬に負けるとチャンネルを大相撲中継にかえて、ボケー

    栃ノ心について - 関内関外日記
  • ユニクロのブロックテックフリースパーカはマジ防風 - 関内関外日記

    深夜0時をまわったころ上司からメールがきた。 「明日、会社の近くに行くことはあるかね?」 「なんですか?」 「今日、休日出勤したのだが、エアコンを切り忘れたような気がする」 というわけで、おれは会社に向かった。 おれは会社の一番近くに住んでいる。通勤時間に一時間だのなんだのかかる生活は考えられない。三十分でも無駄に思える。それも満員電車なんかだとしたら最悪だ。もしもっと給料がもらえるとしても、そういうのはごめんだ。もちろん、おれにもっと給料を出す会社などこの世に存在しないのだが。 閑話休題。 ついでに、ちょっと、試したいものがあったからだ。 新春初売りで買った、ユニクロのブロックテックフリースパーカの機能だ。 ユニクロ|ブロックテックフリースパーカ(長袖)|MEN(メンズ)|公式オンラインストア(通販サイト) ……たぶん、これだと思う。表面は少しガサガサしていてコーティングされているな、と

    ユニクロのブロックテックフリースパーカはマジ防風 - 関内関外日記
    doycuesalgoza
    doycuesalgoza 2018/01/16
    “エアコンが稼動していた。7:3の割合くらいで「切れている」と思っていたので意外だった。”
  • 平成三十年初詣 - 関内関外日記

    出発信仰。 ゴミ詰められた罪の道の蜜を吸いに。 晴天。 葉の先の折れているのはワジュロかトウジュロか。 どうだっていいやね。 トレインに乗るのだ。 どこに乗ったらいいのだ。 到着すると、そこは「きけん」だった。容赦なく「きけん」なのだ。 「きけん」ではない何かができている平成三十年。 五万円の熊手を飾っておくより、一万円札を五枚貼り付けておいた方が強い気がする。 青空に、電球。 おまえらの願い。 おまえらの運勢。 みんな焼かれてしまえ。 神社と寺の違いな。 鋭いのと平和なの。これは平和なの。 おれはつけ麺を頼んだ。店中のおれ以外のすべての客、女も含めてみなラーメンを頼んでいた。 飯をったら用事のある女と別れてとぼとぼと。 値段が張るのはどっち? 関内駅はどっち? 鳥居に引き寄せられるは三が日。 ホテルの中で三が日。 ボス、牡蠣。 新幹線で遠くに行きたい。しかし、帰れない。 おれを縛るもの

    平成三十年初詣 - 関内関外日記
  • 醜く、苦しく、息ができなくなっても、這いつくばって、生きる - 関内関外日記

    今週のお題「2018年の抱負」 ……醜く、苦しく、息ができなくなっても、這いつくばって、生きる……ポーズを取る。 これが抱負らしい抱負だろうか。そのための第一歩としておれは携帯端末のキャリアをMVNOに乗り換えた。月々の出費がけっこう変わってくる。その差額分を生きてやろう。 そしておれは自立支援医療制度のお世話になった。罵るがいい、呪うがいい、唾棄するがいい。しかし、おれはきちんと医療機関で診断書を書いてもらい、行政に認めさせた。医師が書いた診断書は、いかにおれが困難な人生を送っているか物語っていたことであろう(字が汚くて読めなかったが)。これで診療費と薬代が一割負担だ。その差額分を生きてやろう。 おれは今年、そういうポーズを取ることにした。脳みその具合が悪化したならば、手帳を取ってやろう。っていけなくなったら、生活保護もいとわない。簡単には自裁しない。 …… そういうポーズを取ってやろ

    醜く、苦しく、息ができなくなっても、這いつくばって、生きる - 関内関外日記
  • 日比谷公園、あるいは明治のモラル - 関内関外日記

    日比谷公園: 一〇〇年の矜持に学ぶ 作者: 進士五十八 出版社/メーカー: 鹿島出版会 発売日: 2011/05/11 メディア: 単行 購入: 1人 クリック: 1回 この商品を含むブログ (3件) を見る 日初の洋式公園といえば、山手公園ということになる。横浜に居留した西洋人たちによって作られた。横浜公園でもない、山下公園でもない、山手公園である。山手公園を知っているだろうか? 山手隧道を元町方面から抜けて、麦田の信号、その次が山手公園入口だ。そこを左折して少し登る。はいるが、「当にここが国の名勝に指定されてんの?」と思うことうけあいである。 一方で、日人の手によって作られた、官製の洋式庭園といえば日比谷公園ということになる。設計者は多静六である。辰野金吾から無茶振りされて設計することになった。辰野金吾の案はシンメトリーを基調とする、完全な洋式庭園であった。しかし、多静六

    日比谷公園、あるいは明治のモラル - 関内関外日記
  • 2017年有馬記念回顧 あるいは黒岩の6秒 - 関内関外日記

    前にも書いたとおり、おれはジャパンカップでキタサンブラックが負け、有馬記念で勝つと予想していた。中長期的な予想だ。有馬記念はキタサンブラックの頭から行く。それは決まっていた。 が、一つ気になる情報が飛び込んできた。最終追いきりのタイムが調教師の指示より6秒遅いというのだ。そして、キタサンブラックは木曜にも坂路入りした。調整ミス? もし、これで負けたら黒岩(レースでは武豊)のせいになるのではないのか。おれは黒岩(レースでは武豊)という騎手のことはほとんどしらない。しかし、黒岩の6秒が語り継がれるのは不幸のように思った。 馬券を買うのは馬体重発表、パドック映像まで待った。一応のことだ。キタサンブラックは文句ないように思えた。馬っ気を出しまくったり、高知競馬の10歳馬のように疲れていることもなく、普通だった。名馬は普通であればいい。 問題は、相手だった。おれは人気サイドに予算を叩き込むよりは、同

    2017年有馬記念回顧 あるいは黒岩の6秒 - 関内関外日記
  • 人間はなぜ地獄しか作れなかったのか - 関内関外日記

    人間はなぜ地獄しか作れなかったのか。 おれはつねづねそう疑問に思って生きている。この世界で幸せに生きている人間など誰一人いない。まったくいない。人間が自分の手で作り出した地獄の中を苦しみ、もがき、絶望しながら息を吸ったり吐いたりしている。自分で息を吸ったり吐いたりするのをやめてしまう人間もいるほどだ。 偉大なる詩人である田村隆一はこう言った。「巨大なものはすべて悪である」。人間が作り上げてしまった巨大な組織、それは国家であり、企業であり、社会と呼ばれる総体。それとも、物理的に巨大なビル。なにもかもが悪で、悪に取り込まれて塗炭の苦しみの中にあるあらゆる人間が「後悔なんて時間の無駄だ、飲んで忘れろ!」と言いながら、ガンバルマンを飲んで記憶を飛ばしつづけている。この世には喜びも安楽もない。まったくない。当にない。あるのは巨大なビルに入り込んだ巨大な組織で、それぞれの立場でそれぞれの人間は毎日の

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  • 韓国映画における女性への暴力問題(というほどたいそうなことは書けない) - 関内関外日記

    Yahoo!にこんな記事がアップされていた。 キム・ギドク監督を暴行罪で告訴した女優が会見 韓国のタブーと闘う (AFP=時事) - Yahoo!ニュース 数々の映画賞を受賞している韓国映画監督キム・ギドク(Kim Ki-Duk)氏(56)が撮影中に女優に暴行した疑いで刑事告訴された件について、被害に遭った女優人がこのほど会見を開き、白いついたて越しに当時の様子を涙ながらに訴えた。事件が公になることを恥じて泣き寝入りする人が多い保守的な同国で、被害者がこうした告発をするのはまれ。 女性は、撮影中にキム氏から殴られ、台になかった性行為のシーンやヌードを強要されるなど身体的・性的虐待を受けたと訴えている。女性は最終的に降板し、別の女優が代役を務めた。 正直にいうと、ありそうな話だと思った。思ってしまった。言っておくがおれはキム・ギドクのファンと言っていい。だが、ありそうだと思った。 おれ

    韓国映画における女性への暴力問題(というほどたいそうなことは書けない) - 関内関外日記
  • 今さら『オールドボーイ』(韓国映画)を - 関内関外日記

    オールド・ボーイ (字幕版) 発売日: 2013/11/26 メディア: Amazonビデオ この商品を含むブログ (1件) を見る おれはてっきり『オールドボーイ』なんてとっくに観てると思ってた。思ってただけだった。韓国映画のノワールものと、キム・ギドク作品と、ペ・ドゥナが出てるやつはおおよそ観ていると思っていたが、傑作と名高き『オールドボーイ』未見だった。 して、何を語ろうか。あまり語りたくはない。「何をいまさら? みんな知ってるよ」となるくらいの旧作(レンタルとかにおいて)には違いないが、しかし、やっぱり言いたくない。おれはネタバレというものをできるだけ回避して(アニメの次回予告も不要だ)生きていたいタイプの人間なので、「ネタバレむしろ歓迎」のような人のための感想は書けないのだ。 というわけで、中身のない話になる。ともかく、えらいものだった。人間の情念というか、なんというか、魂をえぐ

    今さら『オールドボーイ』(韓国映画)を - 関内関外日記
  • MVNOへの道・1 なんとなく乗り換えたく思っている - 関内関外日記

    「携帯料金の高さは、無知の罰金」とばかりに、ソフトバンクに金を払い続けてきたが、どうにも馬鹿らしくなってきた。なにせ、おれがiPhoneを使うのはアパートと会社のWi-Fi下であって、通話もろくにない。はっきり言って、高すぎるのだ。今度の12月から更新月2ヶ月が始まる。これを機にMVNOへの乗り換えを考えることにする。 条件がある。おれはおれが今使っているiPhone SEをたいそう気に入っており、なおかつまだ機種代の月賦が終わっていないことから、この機種をそのまま使いたいということだ。それともう一つ、MNPである。おれは固定電話を持たない今どきの人間であることから、電話番号が無くなる、もしくは変わるのは大変なことである。この二点を満たしたところに転出したい。 というわけで、いろいろすっ飛ばして、UQモバイルを考えている(Y mobileというのも考えたが、どうも同系列のソフトバンクからの

    MVNOへの道・1 なんとなく乗り換えたく思っている - 関内関外日記
  • 法事 - 関内関外日記

    法事があった。だれの、なんの? おれの母方の祖父母の……。これがよくわからない。坊さんが言ったのと、親戚一同の取りまとめ役であるおじの挨拶で、○回忌の数字が違うのだ。あとで、どっちが正しいのかという話になっても、結局わからんで、おばが数字を伝え間違えたんじゃないか、などというところに落ち着いた。そんなふうに落ち着かず、いい加減で、異様に笑いがたえないのが我が母系である。おれにいくらか能天気で愉快なところがあるとすれば、母系からくるところである。 しかし、今回ひさびさに、当にひさびさに親戚というものを見回してみたら、ひとつ代替わりしているように思えた。男三、女三いる六人いるいとこのうち、女二人が結婚しており、両方とも子供がいる。その子供というのも、大きい方の子で……えーと、二足歩行と会話が充分にできるくらいにはなっていたりして、ともかく、そのネクストジェネレーションが笑いの、注目の中心にな

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  • トリック・オア…… - 関内関外日記

    会社が身売りをするらしい。おれの処遇としては、支社長になりたいとか、役員になりたいとか、そんな思惑はないかという話になっているらしい。 冗談じゃない。おれはもう、普通の労働に対して双極性障害(II型)が負担となって、朝は鉛様麻痺、昼もぼけーっとして、夕方にようやく動けるような状態だ。おれなど、この世のお荷物にすぎない。なにが役員だろうか。雇用が継続してくれれればそれで十二分だ。普通、「たまに朝動けなくて昼頃から出社します」というような人間は不要だろう。おれは不要な人間だ。この会社にとって不要だし、この社会にとって不要な人間だ。だから死ぬしかない。 とはいえ、死ぬしかないわりには死なないのは皆さんご存知のとおりだし、ひょっとして雇用してくれるというのならばこれ以上ありがたい話はない。 おれはできればなにか物を書いて生きていたいと思っているが、そうもいかないことは知っている。おれはおれの範疇で

    トリック・オア…… - 関内関外日記